川崎重工は我が国初の国産潜水艦を建造して以来今日に至るまで、110年を越える水中ビークル製造の歴史を有しています。そして、その分野にて培った技術を生かし、海のドローンとも言うべきAUVを開発しています。
AUVは主として、海底から高度を保ち海底地形を調査するために使用されています。しかし、当社が海底油田検査用として開発しているAUV「SPICE」(Subsea Precise Inspector with Close Eyes)は、潜水艦の耐水圧技術や潜水船の精密な自動航行技術を活用し、海中の潮流下においても目標とするパイプラインを、正確にトレースすることを目指しています。加えて、当社の産業用ロボットの技術を応用したアームを取り付けることによって、その先端のツールを目標に近接させた自動検査が可能となります。これにより、水上の船から操作するROV(遠隔操作型無人潜水機)を使用したこれまでの検査に比べ、大幅なコストダウンが実現できます。また、AUVの弱点である動力については、充電が必要となれば自ら判断して、予め海中に設置されたステーションにドッキングし、非接触充電を行うことによりカバーしています。同時に光通信によるデータ伝送を行い、取り込んだデータをリアルタイムで水上に送ることもできます。そして、その後作業に戻ることによって、長期間の連続運用を可能にしています。
「SPICE」は来年度の市場投入を目指して順調に開発が進んでおり、本年6月に淡路島湊港沖で、水中に設置された数百mのパイプをトレースし、障害物があればそれを認識し避けながら、ツールをパイプに沿わせる試験に成功しました。完成の暁には、この分野でのゲームチェンジャーになり得る可能性を潜めています。また、再生可能エネルギーとして、飛躍的に伸びると考えられている洋上風力発電の検査にも使用することができ、更なる発展が望まれます。
我々川崎重工は創業時から挑戦者でした。この「SPICE」で、新たな分野をフロンティアとして切り拓いて行きます。
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